五月について
五月は、春の名残と初夏の気配が混ざる月です。
暦の上では、立夏を迎えるころから夏に入ります。
けれど、実際の道ばたには、まだ春のやわらかさも残っています。
青葉、薄暑、薫風。
どれも、春から夏へ移っていく空気を含んだ言葉です。
この記事では、五月に使えそうな季語を拾いながら、
鳩や目の前の風景と組み合わせて、句にするための入口を探していきます。
完成した季語辞典ではなく、まずは「ぽっぽうた」のためのノートです。
言葉が足りないところもありますが、拾ったものから順に並べていきます。
ぽっぽうた──鳩を混ぜれば、句は始まる
句を詠みたいと思った時に、
身近な光景にいる生き物のひとつが、鳩ではないでしょうか。
季語を知らなくても、目の前の風景に鳩を混ぜれば、
ひとまず一句の入口になります。
ゆえに「ぽっぽうた」。
空、道、風、日陰、食べ物、駅前。
そこに鳩がいるだけで、言葉は少し動き出します。
うまいかどうかより、まずは言葉が動き出すこと。
このブログでは、その小さな入口を「ぽっぽうた」と呼んでみます。
季語ノートについて
季語ノートは、季語を使って作った句を参考例として公開する覚え書きのようなものです。
つまり、完成した辞書ではありません。
今後、使用した単語はデータベースに登録し、一覧化する予定です。
意味、観察メモ、使用例を少しずつ足していきます。
参考になれば幸いです。
単語一覧
卯月曇り(うづきくもり)
陰暦卯月の曇り空を言う。現在の五月頃で、晴れればまさに快適であるが、曇っていても過ごしやすい季節である。卯の花の咲く頃の曇り空でもある。
使用メモ
5月初め、雨が続いていた時期にて。
朝に鳩さんを見かけた時にも曇っていたので、五月にジメジメとした空気感を出す言葉を探したら見つけた言葉です。
俳句の例
羽鳴らし
卯月曇りを
裂く鳩よ
曇った空を飛ぶ鳩を見て、
重たい空気を少し破ってくれたように感じた時の句です。
応用例
筍流し(たけのこながし)
初夏(陰暦4〜5月、現在の5月頃)の季語。
筍が生えるころに吹く、雨の気配を含んだ南風を指す。
湿気を含み、雨を伴うことも多い。主に初夏の季語として扱われる。
子季語(※)に「筍梅雨(たけのこづゆ)」がある。
※子季語:親季語から派生したバリエーション。
使用メモ
曇りや雨の気配、湿った南風を表したい時に使いやすい言葉です。
筍の伸びる季節の言葉なので、竹林、庭先、雨前の風、部屋にこもる湿気などとも合わせやすそうです。
今回は、湿った空気と食事中の鳩から、出汁の香りへ連想が飛びました。
俳句の例
空泣きに
鳩も隠れる
筍梅雨
降りそうで降らない、草木の生い茂った場所で。
いつもなら見かける鳩さんが、今日は見当たらない。
寂しさを感じ、伸びた緑の景色を表現するために、筍梅雨を使いました。
字余りですが、湿った気配を優先しました。
応用例
薄暑(はくしょ)
初夏のころに感じる、少し汗ばむような暑さ。
真夏の強い暑さではなく、日差しの中に「暑くなってきたな」と感じる程度の、軽い暑さを指す。
使用メモ
五月に入り、急に気温が上がってきました。
東京なら22度前後から26度くらいに。
けれど、まだ真夏ほどではなく、風が吹けば心地よさも残っています。
鳩さんも、日なたで歩いていたかと思えば、木陰や建物の影に入って休んでいることがあります。
春から夏へ移る、その境目の暑さを表す時に使いやすい言葉だと思います。
俳句の例
薫風(くんぷう)
初夏に吹く、若葉の香りを含んだようなさわやかな風を表す。
「風薫る」とも言い、青葉の季節に感じる、明るく心地よい風を指す。
使用メモ
五月に入ると、空気の中に少しずつ夏の気配が混ざってきます。
けれど真夏の熱い風ではなく、木々の緑を通ってくるような、軽くて心地よい風です。
鳩さんを見ていると、羽が少し揺れたり、首元の羽が光ったりすることがあります。
風そのものは見えませんが、鳩の羽や青葉の揺れによって、そこに風があると分かります。
青葉の景色に、動きや空気の流れを足したい時に使いやすい言葉だと思います。
俳句の例
薫風や
煌めく羽並み
鳩の虹
鳩さんの首周りの緑と紫のグラデーションが、風できらめいて見えた時の句です。
風そのものを直接見ることはできませんが、草の揺れや羽の光り方から、初夏のさわやかな空気を感じました。
筍流しの湿った風から、青葉へ向かう明るい風として、薫風を使いました。

応用例
激坂に
薫風で立つ
鳩クンフー
横浜中華街付近の植え込みで見かけた鳩さんです。
激坂を滑り落ちないように耐える姿が、脳裏を離れませんでした。
中国武術の総称として知られる「功夫(クンフー)」と音が近いことから、
薫風はダジャレにも使えそうな季語でした。
あちょーっ!という感じですね。

青葉(あおば)
初夏のころ、青々と茂った木々の葉を表す季語です。
春の若葉よりも少し色が濃くなり、夏へ向かう生命力を感じさせる言葉です。
使用メモ
五月に入ると、木々の緑が一気に濃くなってきます。
春の桜色や若葉から、日差しを受けて力強く広がる緑への移り変わり。
背景の青葉によって、いつもの鳩さんの姿も少し初夏らしく見えてきます。
薄暑も相まって、五月に変わったと実感しました。
俳句の例
鳩の背に
風の抜け道
青葉色
暑さを感じながら、階段を鳩と一緒に登りきった時に見えた光景です。
鳩さんの背中越しに青葉が広がっています。
鳩が青葉を見ているようにも、こちらが鳩と一緒に青葉を眺めているようにも見える景色でした。

青葉闇(あおばやみ)
青々と茂った木の葉が光を遮り、昼でもあたりが薄暗く感じられる様子。
使用メモ
初夏になると葉がぐっと増え、木の下や林道が思いのほか暗くなることがあります。
その“緑が作る影”を表した言葉です。
陰暦では五月は夏。
現代だと五月は春なので、夏の言葉が含まれてる季語もあるので、ちょっと戸惑うかも?
俳句の例
跡踵(あとかかと・せきしょう)
五月の別名。
使用メモ
季語辞典で見つけた、珍しい五月の呼び名「跡踵(あとかかと)」。
仕事や遠出でよく歩くので、妙に刺さった言葉です。
「春よさようなら」みたいな情景でも使ってみたいですね。
語源までは確認できませんでした。
俳句の例
青嵐(せいらん)
葉の頃に吹くやや強い風のこと。
使用メモ
五月に吹く強風ということから、鳩が連想できました。
そして初夏の小田原城、屈強な鳩胸のぶつかり合いを目撃した瞬間、青嵐という言葉を当てはめるべきだと考えました。
句に追い風を吹かせたいときに、使いやすそうです。
俳句の例
今後の更新について
月ごとに使えそうな季語を増やしていく予定です。
この記事も、完成版ではなく「五月の季語ノート」として少しずつ育てていきます。
鳩と組み合わせて句にしやすそうな言葉を見つけたら、意味・使用メモ・句の例を追記していきます。
まずは、拾えた言葉から。
マイペースに言葉をまとめていきます。
鳩胸に幸あれ。


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